【国鉄型魔改造列車特集Vol.7】485系・宴/華/ニューなのはな
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<古い国鉄特急を“豪華宴会列車”に仕立てた大胆すぎる再利用>
「これを485系と呼んでいいのか?」
そう言いたくなる車両が、JR東日本には存在しました。
国鉄特急色は消滅。
あの485系らしい顔もない。
車内には畳、掘りごたつ、カラオケ。
しかし、その床下には紛れもなく国鉄型485系の機器が残っている。
今回の国鉄型魔改造列車は、
「宴」「華」「ニューなのはな」
1990年代、JR東日本が次々と生み出した485系ジョイフルトレインです。
「新品なのか中古なのか分からない電車」
この3編成。
単純に古い485系の内装を豪華にしたわけではありません。
種車から台車や主電動機、制御機器などを流用しながら、
車体は”新しく”造り直した。
言ってしまえば、
「古い485系を改造した」というより、
“485系の足回りに新しい電車を載せた”
に近い存在です。
ここが面白い。
外から見れば当時の新型ジョイフルトレイン。
しかし走行機器のルーツは国鉄時代。
新品と中古の境界線が、妙に曖昧なのです。
1994年。
「宴」485系が旅館になった。
まず登場したのが「宴」。
485系0番台を種車とした6両編成で、全車グリーン車。
ワインレッド系の車体に、大型の曲面ガラス。
車内は畳敷きを基本とし、多くの車両には掘りごたつを設置
先頭車には展望スペースまで用意されました。
ただしパンタグラフを搭載するモロ484形2両は、低屋根部分の関係から掘りごたつ式ではありません。
それでも、国鉄特急の床下機器の上で宴会をする。
冷静に考えるとなかなか凄い電車です。
1997年。
「華」宴会電車をさらに完成させる。
次に登場したのが「華」。
老朽化した12系お座敷客車「なごやか」の後継として、
485系0・200番台から改造されました。
こちらも車体を新製。
紫を基調とした姿は、もはや485系の面影など皆無です。
しかも「華」では全車の客室を掘りごたつ化。
電動式の床を使い、
必要なら全面をフラットな畳敷きにもできる。
展望室、ミーティングルーム、カラオケまで備え、
もはや、
「特急電車をお座敷列車にした」というより、
“宴会施設を485系で走らせた”
と言った方が近いかもしれません。
そして一番変態だった「ニューなのはな」
1997年末に完成し、
1998年に営業を開始した「ニューなのはな」。
165系「なのはな」の後継として登場しました。
コイツは「宴」「華」とも少し違います。
なんと、
”座席車にも、お座敷車にもなる”
普段は固定クロスシート。
ところが座席を転換すると畳面が現れ、
中央通路にテーブルを設置すれば掘りごたつへ変身。
荷物棚まで、お座敷使用時には折り畳めます。
さらに面白いのが、形式上はグリーン車なのに、
座席車として一般向け臨時列車に使用する場合は普通車扱いになったこと。
つまり、
車体だけでなく営業上の扱いまで変身する485系。
ここまで万能にする必要があったのかと思うほどです。
「そこまで造るなら新車でよくない?」
そしてこの3編成には、どうしても一つの疑問が浮かびます。
車体を丸ごと造り直し、内装も新しくする。
ならば、最初から新車を造ればよかったのではないか?
しかも宴の種車には、
当時すでに車齢の高い485系が含まれていました。
外見は最新。
しかし床下では、国鉄時代から使われてきた抵抗制御の485系が走っている。
今なら「そこまでして再利用する?」と感じる人もいるでしょう。
しかし当時は話が違います。
485系は直流1500Vだけでなく、交流50Hz・60Hzにも対応。
機関車を必要とせず、広範囲へ自力で乗り入れられる。
目的地が毎回変わる団体列車にとって、
これほど都合のいい素材はなかなかありませんでした。
新車を一から設計するより、使える走行機器を再利用する。
華やかな姿とは裏腹に、
その発想は意外なほど合理的だったとも言えます。
結果的には「使い倒した側」が勝った。
ニューなのはなは2016年に引退。
宴は2019年。
そして華は2022年まで走りました。
特に華は、種車の誕生から数えれば半世紀以上にわたって485系の機器を使い続けた車両も存在しました。
つまりJR東日本は、
古いから捨てるのではなく、使える能力を最後まで使い倒した。
国鉄時代、485系に求められたのは、
「日本全国を特急として走れること」。
JR時代、その能力は、
「日本各地へ宴会客を運べること」へと変わりました。
特急から、お座敷列車へ。
国鉄特急の面影を完全に消されても、
最後まで485系の万能性だけは消えなかった。
「宴」「華」「ニューなのはな」。
これは単なる珍車だったのか。
それとも、国鉄型車両を徹底的に使い切った、
究極のリサイクルだったのか。
評価が分かれるからこそ、
今見ても面白い“魔改造3兄弟”なのです。
(マイミー)

