【日本では引退】インドネシアでは、愛されるスターに。

【日本では引退】インドネシアでは、愛されるスターに。

マイミー

日本では「古い電車」として引退した、
205系や203系、東京メトロ6000系や05系。
しかし海を渡ったインドネシアでは、人々の暮らしを支える大切な足として、再び第一線を走り続けました。

日本と同じ軌間1,067mm、直流1,500V。

激しいラッシュに耐えてきた頑丈な車体と、大量輸送に適した広い車内。
さらに、日本で丁寧に整備されてきた車両を、まとまった数で導入できる。
日本の中古電車は、急成長するジャカルタの鉄道にとって、まさに救世主のような存在だったのです。

しかし、日本車がインドネシアへ運んだものは、輸送力だけではありませんでした。
近年、インドネシアでは列車を撮影し、編成番号や塗装の違いを楽しみ、日本時代の経歴まで調べる若い鉄道ファンが目立つようになっています。

SNSの普及に加え、205系だけでも埼京線、横浜線、南武線、武蔵野線など、さまざまな“物語”を背負った車両が集まったことも、ファンを惹きつけた理由ではないでしょうか。
その熱量を象徴するのが、2026年7月18日に開催された
第2回「DEPO DEPOK TOUR EVENT」。

デポック車両基地には、
元JR東日本203系・205系、元東京メトロ6000系・7000系・05系が集結。

203系や6000系は日本時代の姿へ、
05系は東西線時代の帯へ、
205系はインドネシア譲渡初期に見られた南武線帯を残す姿へと再現されました。
前年のイベントでも、205系に埼京線・横浜線・南武線・武蔵野線時代の姿が再現されています。

日本では当たり前のように走っていた通勤電車。

それを現地のファンが大切に磨き、日本時代の姿へ戻し、嬉しそうにカメラを向けている。
これは、たまらなく胸が熱くなる光景です。

日本から渡ったのは、単なる中古車ではなかった。

電車を愛し、追いかけ、撮影し、その歴史を語り継ぐ文化まで、一緒に海を渡っていたのです。

しかし、時代は確実に動いています。

KAI Commuterは2025年から新型車CLI-125を順次投入し、同年12月にはインドネシアのINKAが製造した国産新型車CLI-225の営業運転も開始しました。KAI Commuterは新型車を、寿命を迎えた従来車の置き換えとして導入しており、19編成を対象とした更新・改造計画も進めています。

つまり今後のKAI Commuterは、
日本の中古車を買い続ける時代から、新造車の導入、インドネシア国内での車両生産、既存車の延命を組み合わせる時代へと進んでいきます。

日本車にとって、少し寂しい世代交代が始まっていることは間違いありません。

それでも、日本の電車がジャカルタの鉄道を支え、鉄道ファン文化を育て、インドネシアの車両製造へとつながる“橋渡し役”を果たした事実は消えません。
日本では引退した電車が、異国の地で人々に愛され、スターになった。
そして役目を終える時が来ても、その姿は写真と記憶の中に残り続ける。

日本車がインドネシアに残したもの。

それは車両だけではなく、鉄道を愛する心そのものだったのかもしれませんね。

(マイミー)

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