【登場20周年】北陸の“標準車”となった521系の数奇な歩み
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交直両用の近郊型電車と言えば、
401・421系に始まり、
そこから続く403・423系、
そして、これら形式の決定版たる415系など、
国鉄の香り漂う車両群が思い浮かぶところ。
一方、
JR西日本発足後初の交直両用近郊型電車として誕生した521系は、
今年(2026年)で登場から20周年を迎えます。
"国鉄車が長生きした"、
と言うのもありますが、
時代の主役はとうの昔に置き換わっていることを実感します。
さて本回は、
521系電車のおはなし。
■始まりは“敦賀直流化”
521系が営業運転を開始したのは、
2006年11月30日。
同年10月に実施された
北陸本線・長浜―敦賀間、
湖西線・永原―近江塩津間の直流化に合わせて誕生しました。
JR西日本では初となる
近郊型交直流電車です。
その姿を見れば分かる通り、
当時、京阪神地区で主力となっていた223系の流れを色濃く汲む車両で、
2両編成という小単位を基本としながら、
最高速度は120km/h。
それまでの北陸本線には、
413系、419系、475系など、
国鉄時代に生まれた車両が数多く残っていましたが、
521系は増備を重ねながら、
これらを徐々に置き換えてゆくこととなります。
2012年頃には、
521系と国鉄型が当たり前のように並んでいた北陸本線。
今となっては、
これも懐かしい光景です。
■ところが、北陸本線そのものが変わってゆく
521系にとって大きな転機となったのが、
2015年3月の北陸新幹線・長野―金沢間開業でした。
これに伴い、
北陸本線の金沢以東はJR西日本から経営分離。
石川県内はIRいしかわ鉄道、
富山県内はあいの風とやま鉄道へと引き継がれます。
当然、
この地を走っていた521系の一部も、
新たに誕生した両社へと移籍しました。
ここから521系は、
単なる「JR西日本の車両」ではなくなってゆきます。
あいの風とやま鉄道では、
JR西日本から譲り受けた車両とは別に
自社で新たな521系を増備。
当然と言えば当然ですが、
JR西日本という会社の枠を越え、
521系そのものが北陸地方における
ひとつの“標準規格”のような存在となっていったのです。
■JR西日本でも、まだまだ増える
一方で
本家であるJR西日本においても、
521系の増備は終わりませんでした。
2020年には、
七尾線向けとして100番台が登場。
それまで同線で使用されていた
413系、415系800番台を置き換え、
ここでも国鉄型車両から521系への世代交代が進みました。
登場時から2次、3次と
改良を重ね、
同じ521系を名乗りつつも、
前面デザインや内装は
20年という時代の中で世代差が生まれています。
■そして、ついに“4社の521系”へ
さらに2024年。
北陸新幹線が金沢から敦賀まで延伸したことで、
北陸本線の金沢―敦賀間もJR西日本から経営分離されました。
石川県内はIRいしかわ鉄道へ、
福井県内は新たに開業した
ハピラインふくいへ。
ここでもまた、
521系が引き継がれます。
こうして現在、
521系を保有する鉄道会社は、
JR西日本、
IRいしかわ鉄道、
あいの風とやま鉄道、
ハピラインふくい。
実に4社。
各社それぞれにカラーリングを変え、
所属会社も違う。
しかし、
北陸を走るその車両を見れば、
基本となっているのは同じ521系です。
2006年に、
JR西日本初の近郊型交直流電車として誕生した、
一形式に過ぎなかった521系。
それから20年。
国鉄型車両を置き換え、
北陸本線を走り続けているうちに、
今度は北陸本線そのものが分割され、
気が付けば複数の鉄道会社に跨がる
“北陸の標準車”となっていました。
車両が20年走れば、
鉄道を取り巻く環境も変わる。
521系の数奇な歩みは、
この20年間に起きた
北陸の鉄道そのものの変化を映しているようにも思えます。
(Mr.DIMER編集長)


