【同じ警笛じゃダメなの?】タイフォン・電笛・汽笛、3種類を積む理由
マイミー共有
「ファーン!」
踏切やホームで、
突然鳴らされる列車の警笛。
ところが運転台に立つ側からすると、
警笛は単純に
「危ないから鳴らす音」
だけではありません。
車両によっては、
タイフォン。
電笛・メロディーホーン。
そして、いわゆる汽笛(ホイッスル系)の空気笛。
性格の違う警笛を複数搭載し、
状況によって鳴らし分けています。
でも、ちょっと待ってください。
危険を知らせるだけなら、
一番大きな警笛を一つ積めば済みそうです。
なぜ、わざわざ何種類も必要なのでしょうか。
まず大前提として、
鉄道車両の警笛は安全設備です。
踏切や駅で列車の接近を知らせたり、
危険を警告したり、
鉄道従事員同士の合図として使われます。
国鉄型車両でおなじみなのが
「タイフォン」。
代表的なAW-5形は、
圧縮空気で振動板を鳴らす空気笛です。
「プァーン」という、
太く存在感のある音。
103系や113系など、
国鉄型電車の警笛として
耳にした人も多いでしょう。
一方、機関車などで聞く、
「ピーッ!」
という鋭い音。
代表的なのがAW-2形のホイッスルです。
これも圧縮空気で鳴らすため、
広い意味では同じ「気笛」。
鉄道ファンの会話では、
AW-5を「タイフォン」、
AW-2を「汽笛」「ホイッスル」と
呼び分けることがありますが、
どちらも空気を使った警笛です。
では、なぜ二種類あるのか。
鍵になるのが、
「音の性格」です。
太いタイフォンと、
鋭いホイッスルでは、
周囲での聞こえ方が違います。
車両によっては、
性格の違う空気笛を複数備えることで、
状況に応じた警告が可能になります。
そして現在、
よく使われるようになったのが
「電笛」「電子警笛」です。
こちらは圧縮空気ではなく、
電気的に音を発生させる警笛。
空気笛より柔らかな音色にできるため、
沿線環境への配慮という意味でも
普及してきました。
ホーム上の利用客へ
「列車が来ますよ」と知らせたいだけなのに、
毎回、
「ファァァァン!」
では強烈すぎる。
そこで比較的穏やかな電笛を使う。
さらに危険度が高ければ、
強い空気笛を使う。
つまり、
電笛は「気付いてください」。
空気笛は「危ない!」
というように、
警告の強さを使い分けられるわけです。
そして、
その電気式警笛をさらに発展させた存在が、
「メロディーホーン」
「ミュージックホーン」です。
単純な「ビーッ」という電子音ではなく、
文字どおり短い旋律を奏でます。
有名なのが、
小田急ロマンスカーや名鉄特急。
小田急3000形SEでは、
高速で接近する列車の存在を知らせながら、
強烈な警笛による騒音を抑える目的もあり、
ミュージックホーンが採用されました。
名鉄のパノラマカーをはじめ、
特急車でもミュージックホーンは
強い個性となりました。
ただし、
これは単なる「サービス用BGM」ではありません。
東京都交通局の東京さくらトラムでは、
停留場へ進入する際など、
利用客を過度に驚かせずに
電車の存在を知らせるため、
柔らかなメロディーホーンを使用。
一方で、
危険を知らせる必要がある場合には、
従来の空気笛を使います。
つまり、
メロディーホーン
↓
穏やかな注意喚起
電笛
↓
通常の注意喚起
タイフォン・ホイッスル
↓
より強い警告
といった具合に、
“音の強さ”に段階を持たせることができるのです。
もちろん、
これは全国共通の絶対的な使い分けではありません。
どの警笛をどんな場面で使うか、
操作方法も含めて、
鉄道会社や車両によって違います。
警笛ペダルの踏み方によって、
電笛と空気笛を鳴らし分けられる車両もあります。
要するに、
警笛は一種類あればいい設備ではないのです。
周囲の環境。
危険度。
聞かせたい相手。
必要な音量。
そして、
相手を必要以上に驚かせないこと。
それらを考えた結果、
タイフォン。
ホイッスル。
電笛。
そして、
メロディーホーン。
鉄道車両には
性格の違う“声”が与えられてきました。
何気なく聞いていた、
「ビーッ」
「ファーン!」
その違い。
実は、
列車が今どんな相手に、
どれくらい強く
「気付いてほしい」と伝えているのか。
そんな意味まで隠れています。
(マイミー)

