【絶滅寸前!?】みんな大好きMT54・国鉄名車を支えた120kWの主電動機
マイミー共有
「107系、113系、115系、165系、485系、185系…あらゆる国鉄名車の足元には、いつもコイツがいた」
国鉄型電車が加速するときに響く、あの独特の唸り。
車両形式を知らなくても、この音を聞けば、
「あぁ、国鉄型だ。」
そう感じる人もいるのではないでしょうか。
今回の主役は車両ではありません。
”主電動機・MT54形”。
国鉄電車の黄金時代を、床下から支え続けた名機です。
“100kWでは足りない”
MT54が登場したのは1960年代初頭。
それまで153系などの新性能電車では、定格出力100kWのMT46形が使われていました。
しかし列車の長編成化、高速化、そして勾配線区への進出によって、より強力な主電動機が求められます。
そこで登場したのが、
「定格出力120kWのMT54形。」
三菱電機の当時の技術資料にも、国鉄向けの120kW級主電動機としてMT54の名が記されています
たった20kWの差に見えますが、1両4基なら合計480kW。
MT46に対して約20%の出力向上です。
この余裕が、国鉄電車の活躍範囲を大きく広げていきました。
165系を山へ送り込んだ120kW
その代表格が”165系”です。
平坦線主体の153系に対し、165系は上越線や中央本線など、勾配線区での使用を考慮して誕生しました。
MT54による出力向上に加え、抑速発電ブレーキも装備。
峠を登り、そして長い下り勾配を安全に降りる。
「MT54」は、
国鉄の急行形電車を本格的に“山へ送り込んだ”主電動機のひとつでした。
「気が付けば、日本中にMT54」
そしてMT54最大の凄さは、その汎用性です。
113系、115系。
165・169系。
453系以降の交直流急行形。
485・489系。
583系。
117系。
185系。
近郊形、急行形、特急形。
直流電車から交直流電車まで、
実に幅広い車両へ採用されました。
113系や115系では毎日の普通列車を走り、165系では峠を越え、485系では全国を駆ける特急列車を支える。
同じ120kWのモーターが、
日本中でまったく違う仕事をしていたのです。
そして、
「みんな大好き“あの音”」
MT54を語るなら、やっぱり外せないのが”音”でしょう。
抵抗制御で加速すると、速度の上昇とともに床下から響いてくる、あの力強い唸り。
115系で聞くMT54。
165系で聞くMT54。
185系で聞くMT54。
歯車比や台車、車体、運転条件が違えば、同じモーターでも聞こえ方は変わります。
だからこそ、
「115系がいい」
「いや185系だ」
「165系の山登りだろ」
なんて話まで成立します。
もはやMT54は、ただの機械ではありません。
国鉄電車の“声”なのです。
「名車の陰に、名モーターあり」
鉄道車両というと、
どうしても先頭形状や塗装に目が行きます。
しかし113系、115系、165系、485系、185系。
数々の名車の走りを生み出した、
その床下にはMT54がいました。
定格出力120kW。
数字だけ見れば、それだけです。
しかし、その120kWが何十年にもわたり、
日本中で唸り続けました。
そして気付けば、MT54の咆哮を響かせて走る車両も、
ずいぶん数を減らしてきました。
かつては全国各地で当たり前のように聞こえていた、あの音。
それを生で聞ける時間も、そう長くはないのかもしれません。
だからこそ今、
MT54の音を求めて全国各地を旅してみるのも面白い。
残された国鉄型たちが奏でる“あの咆哮”を、
聞けるうちに聞いておく。
それもまた、
今だからできる鉄道旅の楽しみ方ではないでしょうか。
「みんな大好き、MT54。」
国鉄の名車たちを名車たらしめた、
日本の鉄道史に残る「名主電動機」
日本の鉄道からから聞けなくなる前に、
是非聞きに行ってみてください。
(マイミー)

