【鉄道車両ステンレス史】フルフラットになった現代(後編)
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<ついに、“デコボコ”が消えた>
コルゲートから、
ビードへ。
ステンレス車体に刻まれていた凹凸は、
技術の進歩とともに
少しずつ減っていくこととなります。
そして1990年代。
ついに、
「ビードすらない」
ステンレス車が登場します。
その先駆けとなったのが、
1992年に登場した
JR東日本901系でした。
後の209系となる、
新世代通勤電車の量産先行車です。
901系では、
それまでのビード外板に代わって
「フラット外板」を採用。
車体側面から、
あの筋状の凹凸が姿を消しました。
これを可能にしたのが、
車体設計と製造技術のさらなる進歩です。
コンピューターを用いた
FEM解析をより高度化し、
車体各部に必要な強度を細かく検討。
さらに、
大量生産を前提とした
製造工程そのものの合理化も進みました。
こうしてステンレス車体は、
コルゲート
↓
ビード
↓
フラット外板
へと進化したのです。
もっとも――
この時点では、
まだ完全に“ツルツル”ではありません。
901系や209系などでは、
外板同士を接合する部分を僅かに重ねる
「セギリ」と呼ばれる構造が残っていました。
さらに、
抵抗スポット溶接を用いる以上、
よく見ると外板には
溶接の圧痕も確認できます。
つまり、
「ビードは消えた」。
しかし、
「完全な平滑面になった」
わけではなかったのです。
そして2013年。
ステンレス車体は、
さらに次の段階へと進みます。
総合車両製作所が発表した
次世代ステンレス車両
「sustina」。
その国内第1号となった
東急5050系5576号車では、
レーザー溶接を用いた新しい構体を採用しました。
レーザーは、
極めて狭い範囲へ熱を集中させることができるため、
溶接による歪みを小さくできます。
さらに、
外板同士を突き合わせて接合することで、
従来存在していた
「セギリ」も不要となりました。
こうして実現したのが、
「フルフラット」のステンレス車体です。
コルゲートによって、
薄い板に剛性を持たせた時代。
必要な箇所だけに
ビードを設けた時代。
そして、
凹凸そのものを必要としない時代へ。
およそ半世紀をかけて、
ステンレス車体は
ここまで平らになりました。
何気なく眺めている、
銀色の電車の側面。
実はその“デコボコ”を見るだけでも、
その車両が生まれた時代と、
当時の車両製造技術が見えてきます。
コルゲート。
ビード。
そして、フルフラット。
ステンレス車体の表面そのものが、
日本の鉄道車両技術の
ひとつの歴史なのです。
(Mr.DIMER編集長)

