【国鉄型魔改造列車特集Vol.5】485系・「リゾートエクスプレスゆう」
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車籍は国鉄型、中身はほぼ別物。
常磐線を駆けた究極のジョイフルトレイン
国鉄型車両というものは、本当に面白いですね。
古くなったから廃車ではなく、
「使えるものは、まだ使う。」
台車、床下機器、電装品、そして時には車籍まで利用して、全く別の車両へ生まれ変わらせてしまう。
今回紹介する「リゾートエクスプレスゆう」は、そんな国鉄型魔改造文化がJR時代にまで受け継がれた、とんでもない一編成です。
その姿を見て、「これは485系です」と言われても、
おそらく大半の人が首を傾げるでしょう。
しかし、形式上は485系。
しかも、その成り立ちは想像以上に複雑でした。
「お座敷客車『ふれあい』の後継として誕生」
リゾートエクスプレスゆうが登場したのは1991年。
JR東日本水戸支社が使用していたお座敷客車「ふれあい」の後継として製作された、6両編成のジョイフルトレインです。
ただし、
「余った485系を改造しました」という単純な話ではありません。
種車となったのはサロ183形、サロ189形などの特急形グリーン車で、485系だったのは4号車となったサロ485-1。
そこへ485系用機器などを組み合わせ、交直流電車として再構成されました。
しかも車体は“ほぼ新製”。
つまり国鉄型車両の戸籍と機器を使って、
新しい列車を造ってしまった。
そんな車両なのです。
「485系の面影は、ほぼありません」
外観は強烈でした。
大きく傾斜した前面。
センターピラー部分の愛称表示器。
丸みを帯びた車体に大型の側窓。
485系といえばボンネット形や、いわゆる「電気釜」の顔を思い浮かべますが、「ゆう」にはその面影がほとんどありません。
しかし床下へ目を向ければ、そこには国鉄特急形電車から受け継がれた機器類が並ぶ。「外見は平成。中身は国鉄。」
このアンバランスさこそ、「ゆう」の最大の魅力だったのではないでしょうか。
「実は最初から“お座敷列車”ではない」
後年の「ゆう」といえば、畳敷きのお座敷列車という印象が強いと思います。
ところが登場時は、いわゆる“欧風ジョイフルトレイン”でした。
車内には豪華な座席やラウンジ、イベントスペースなどを備え、団体旅行向けの豪華列車として誕生しています。
その後、旅行需要の変化に合わせて1998年に改装。
客室の多くが畳敷きとなり、皆さんがよく知る「お座敷ゆう」へ変身しました。
一度大改造されて誕生した列車を、さらに時代に合わせて魔改造する。実に国鉄型らしい人生です。
「非電化区間?なら機関車で引っ張ればいい」
そして「ゆう」を語るうえで外せないのが、
「マニ50 2186」通称「ゆうマニ」です。
485系は電車ですから、本来なら架線のない非電化区間には入れません。
ならばどうするか。
専用の電源車を連結し、ディーゼル機関車などに牽引させてしまえばいい。
「ゆう」は実際に、水郡線などの非電化区間へ乗り入れていました。
例えば2015年には、常陸大子から水戸までの水郡線区間をDE10 1697が牽引。
そのDE10と「ゆう」の間には、サービス電源を供給する「ゆうマニ」が連結されていました。
「お前、どこまで行く気なんだ。」
思わずそう言いたくなるほど、「ゆう」は実にさまざまな線区へ顔を出しています。
水郡線、中央本線、東海道方面、私鉄の富士急行線まで。
まるで、
「線路さえつながってりゃ、とりあえず行ってみる。」
と言わんばかりの行動範囲。
しかも耐寒耐雪対策、横軽対策、低屋根化など、広域運用を見据えた装備もしっかり盛り込まれていました。
交流も直流もお構いなし。
必要なら非電化区間は機関車に引っ張ってもらう。
まさに「行ける場所には全部行く」。
そんな恐るべき万能ジョイフルトレインだったのです。
「そして2018年、最後の旅へ」
勝田車両センターを拠点に、団体臨時列車を中心として各地を走り続けた「ゆう」。
定期特急のように毎日見る列車ではありませんでした。
だからこそ、突然ホームへ現れるあの独特な車体には特別感がありました。
しかし登場から27年。
2018年9月5日、K30編成は勝田を離れ、長野総合車両センターへ自走で回送。
事実上これが最後の旅となりました。
国鉄時代に造られたグリーン車の車籍を受け継ぎ、
車体を造り直され、485系となり、
欧風ジョイフルトレインとして生まれ、
さらにお座敷列車へ姿を変え、
必要なら機関車に引っ張られて非電化区間まで走る。
ここまで来ると、
「そもそも485系とは何なのか?」
という話になってきます。
でも私は、こういう車両こそ国鉄型の面白さだと思うのです。
使えるものは使う。
必要なら姿を変える。
そして新しい役目を与え、最後まで走らせる。
485系「リゾートエクスプレスゆう」。
その姿に485系の面影はほとんどなくても、
その身体の奥には最後まで、
国鉄型特急電車の血が流れていたのです。
(マイミー)

