【国鉄型魔改造列車特集Vol.6】キハ56形・アルファコンチネンタルエクスプレス

【国鉄型魔改造列車特集Vol.6】キハ56形・アルファコンチネンタルエクスプレス

マイミー

まだまだあるよ魔改造。

「北海道の急行形気動車を、リゾートホテルの送迎列車にしてしまえ。」

そんな発想から生まれたのが、
1985年12月に登場したアルファコンチネンタルエクスプレス。
通称「アルコン」です。

今回の種車は、新車ではありません。
北海道で長年、急行列車を支えてきたキハ56系。

あの無骨な急行形気動車を、原形がほとんど分からなくなるまで作り替えてしまいました。

「ホテルと国鉄が作ったリゾート列車」
石勝線開業後、
トマムやサホロでは本格的なリゾート開発が進みます。
そこでホテルアルファトマム、狩勝コンチネンタルホテルと国鉄が手を組み、リゾート客輸送のための専用列車を企画。

「アルファコンチネンタル」という名称も、
両ホテルの名前を組み合わせたものでした。

当時の国鉄といえば、赤字、合理化、そして分割民営化を目前に控えた時代。そんな最中に、
「古い急行形を豪華リゾート列車にして、新しい需要を掘り起こす。」かなり攻めています。

「キハ56の顔を切り落とす」

種車となったのはキハ56-201・209とキロ26-201。
改造後は、キハ59-1+キハ29-1+キハ59-2
という3両編成になりました。

しかし先頭車を見ると、もはやキハ56の面影はほぼありません。
運転台周辺を大改造し、ハイデッカー構造の展望室と巨大な前面窓を設置。

あの北海道仕様の急行形が、
一気に欧風リゾート列車へ変貌しました。

側面や床下をよく見れば確かにキハ56系の血統を感じますが、正面だけ見て種車を当てろと言われたら、かなり難しい。

これぞ"魔改造"です。

車内まで完全に別世界
内装も従来のキハ56とは別物。
展望性を重視した客室にリクライニングシートを備え、中間車キハ29-1には供食用カウンターまで設置。
さらに先頭車にも冷房を供給するため、
中間車の冷房電源装置まで強化されました。
外見だけ派手にしたのではなく、サービス設備や電源設備まで手を入れている。

”人気が出すぎて「普通のキハ56」を混ぜる”

ところがアルコンは人気を集めます。
すると3両では足りない。
そこで増結用としてキロ26-202やキハ56-213をアルコンカラーに塗装して連結しました。

ただし基本的には”原形に近い車両”。
外はアルコンなのに、中へ入れば見慣れた急行形。
しかもキハ56-213はボックスシートを残したまま。
豪華な展望車を期待して乗ったら、そこだけいつものキハ56。

これはこれで今なら乗ってみたいですが、
当時のリゾート客からすれば「思うてたんと違う」となったでしょう。
さらに1エンジンのキロ26を増結すると編成出力にも影響するため、運用面でも扱いやすいとは言えませんでした。

「だったら、やります。おかわりもう1両。」

そして1986年。
国鉄が出した答えは、

「だったら、もう1両ちゃんと改造しよう。」

キハ56-212を種車に、キハ59-101を製作。
運転台まで撤去して完全な中間車とし、
アルコンは本格的な4両編成となります。
足りなければ原形車を塗って繋ぐ。
それで具合が悪ければ、さらに1両魔改造する。
この力技こそ、
国鉄末期のジョイフルトレインらしさではないでしょうか。

「北海道リゾート列車の先駆者」

その後の北海道には、フラノエクスプレス、トマムサホロエクスプレス、ニセコエクスプレス、クリスタルエクスプレスなど、個性的なリゾート列車が次々と登場します。
アルコンは、そんな北海道のリゾート列車文化を切り拓いた先駆者の一つでした。
新車を造る余裕がなくても、
今ある車両と技術で新しい価値を作る。

キハ56という北海道の働き者を、
観光客が憧れるリゾート列車へ変えてしまった国鉄マンたち。
合理化の時代だからこそ生まれた、逆転の発想。

「キハ56形・アルファコンチネンタルエクスプレス」
”元キハ56です”。

(マイミー)

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