【485系非貫通車】ステンレス“眉毛”はタダの飾り?
編集長共有
国鉄特急形電車を代表する485系。
その先頭形状は、
ボンネット形に始まり、
1972年にはいわゆる「電気釜」と呼ばれる、
前面貫通式のクハ481形200番台が登場。
そして1974年。
貫通扉を廃した、
クハ481形300番台が登場します。
さて本回は、
そんな485系非貫通車の“眉毛”
に関する、おはなし。
■200番台の前面貫通構造車
クハ481形200番台は、
将来の分割・併合運転を考慮し、
前面に貫通路を設けて登場しました。
先頭車同士を連結した際にも、
車両間の通行を可能とするための設備です。
もっとも、
一般形車両のように
幌や貫通扉をそのまま前面へ露出させる構成は採られませんでした。
200番台では、
貫通扉や幌を左右両開きの外扉で覆い、
通常時にはそれらを前面から隠す構造としています。
実用設備を内側へ収め、
特急形車両としての端正な前面意匠を維持する。
一般車両とは一線を画す、
優等列車としての風格を意識した設計でした。
■“眉毛”の正体は、外扉のドアレール
この200番台の前面、
前面窓直下左右に配された、
横方向へ伸びるステンレス製の部材があります。
これが、
外扉を開閉するためのドアレールです。
顔に例えるならば、
“眉毛”のようにも見えるこの部分。
200番台においては、
明確な機能を持つ構造部材でした。
■300番台で貫通構造は廃止
ところが、
前面貫通構造は必ずしも期待通りの成果を上げたわけではありません。
200番台では、
貫通扉周辺から運転室へ隙間風が入り込むなど、
実用上の問題も生じました。
車両によっては、
外扉を溶接したり、
貫通路そのものを閉鎖した例も現れます。
そして
1974年に誕生する
クハ481形300番台では、
前面貫通構造そのものを廃止。
前面は、
より簡潔な非貫通構造へと改められました。
貫通扉が消滅、
当然、
それを覆う外扉も必要ありません。
したがって、
外扉を開閉するためのドアレールも、
本来であれば"不要"となるはずです。
■残されたステンレス部材
初めから
非貫通車として登場することとなる
300番台の前面には、
200番台のドアレールと
ほぼ同じ位置に
横長のステンレス製部材が残されました。
外扉がない
にもかかわらず、
その外観は継承された、と言うことになります。
一見すれば、
200番台の意匠を残すための装飾?とも思えます。
しかし、
この部材には別の役割が与えられていました。
■非貫通車では「点検用梯子掛け」に
非貫通車に残されたこの部材は、
前面上部を点検する際に使用する
梯子を掛けるためのものとされています。
つまるところ、
200番台では、
外扉を開閉するためのドアレール。
300番台では、
点検作業に用いる梯子掛け。
外観上はよく似た部材でありながら、
その用途は変化していたのです。
■機能を変えながら、485系の顔に
貫通形から、
非貫通形へ。
前頭部の構造は大きく変化しました。
しかし、
その過程で姿を残したステンレス製の部材は、
新たな実用性を与えられ、
結果として、
485系非貫通車を特徴づける
前面意匠の一部となりました。
装飾のように見えて、
実際には機能を持つ。
ただ、
最晩年の
九州車では
この"眉毛"が外された車両もあって。
割と
当初の電気釜スタイルを保つために
"取り付けられていた説"も、
捨てきれないなと。
それだけ、
国鉄特急形電車の顔である
485系"電気釜"は
完成度の高いデザインであった、
と評価できるでしょう。
(Mr.DIMER編集長)


