【JR九州特集・D&S列車編 Vol.6】キハ47形・或る列車。廃車になった国鉄型を“幻の豪華列車”へ蘇らせた究極の再生

【JR九州特集・D&S列車編 Vol.6】キハ47形・或る列車。廃車になった国鉄型を“幻の豪華列車”へ蘇らせた究極の再生

マイミー

一度はJR四国で廃車となった車両をJR九州が譲り受け、
豪華な車内を与え、形式まで、

「キロシ47」へ変えてしまいました。

今回のD&S列車は、

JRKYUSHU DISCOVER TRAIN「或る列車」です。

そもそも「或る列車」って何?
まず、この名前が妙に意味深です。

話は100年以上前まで遡ります。

1906年。
当時の九州鉄道は、
アメリカのブリル社へ豪華客車を発注しました。
ところが翌年、九州鉄道は国有化。
結果、その豪華客車は九州鉄道の列車として活躍する機会を失いました。
後世、この幻の豪華客車は、

「或る列車」

と呼ばれるようになります。

そして鉄道模型の大家・原信太郎氏が製作していた模型をもとに、水戸岡鋭治氏が現代に蘇らせた。
それが現在の「或る列車」です。

しかしベースは、まさかの「廃車体」
ここからがJR九州らしい。

豪華列車を造るなら、新車を用意しそうなもの。
ところが使われたのは、

元JR四国のキハ47 176とキハ47 1505。

しかも2両とも2011年に一度廃車になっています。
JR九州へ渡った後、小倉総合車両センターで徹底的に改造。

キハ47 176は、キロシ47 9176
キハ47 1505は、キロシ47 3505
として復活しました。

ここが凄い。
ボロボロの廃車をそのまま延命した、という話ではありません。
機関換装をはじめ走行関係にも手を入れ、
内外装はほぼ別世界。
一度鉄道車両としての生涯を終えたキハ47が、
「豪華列車」として車籍まで復活した。
なかなか強烈な経歴です。

「キロシ47」という前代未聞
さらに形式も面白い。

「キ」は気動車。

「ロ」はグリーン車。

そして、
「シ」は食堂車。

つまりキロシ47は、
「グリーン車+食堂車の気動車」

キハ40系列として初の「シ」付き形式であり、「キロシ」という形式記号自体も極めて異色の存在となりました。

国鉄時代ならローカル線の普通列車を黙々と走っていたキハ47。それが数十年後、食堂車になる。
誰が想像したでしょうか。

「外観からして、もうキハ47ではない」
車体そのものはキハ47の面影を残しています。

しかし、印象は完全に別物。
金と黒を基調とした車体。

前面には装飾が加えられ、側面には唐草模様。
まるで明治時代の豪華客車を現代へ持ってきたような姿です。

車内も強烈。
1号車はメープル材を中心とした明るい空間。
2号車はウォールナットを使った落ち着いた個室中心の構成。

組子細工や格天井など、「ななつ星 in 九州」でも使われた技術まで投入されています。

つまり、足元は国鉄型キハ47でも客室は、
「ななつ星」に迫る豪華空間。
このギャップがたまりません。

最初は「スイーツを食べる列車」だった。

2015年8月8日。
「JRKYUSHU SWEET TRAIN 或る列車」として運行開始。

当初は大分~日田、そして長崎~佐世保などを走り、約2時間半かけて九州の食材を使ったスイーツコースを楽しむ列車でした。

しかし2021年11月、列車はさらに変化します。
コンセプトを、
「極上の“食”・“時”・“おもてなし”を味わう幻の列車」へ変更。

「SWEET TRAIN」から「DISCOVER TRAIN」へ進化し、現在は博多~由布院ルートを中心に運行されています。

「これ、本当にキハ40系なのか?」

個人的には、「或る列車」の一番面白いところはここです。
キハ40系といえば、

頑丈。
重い。
古い。

全国のローカル線を走った、いかにも国鉄らしい実用車。

それをJR九州は、
「古いから廃車」では終わらせなかった。

一度廃車になったキハ47に、
豪華な内装を与え、食堂車にし、
1人数万円クラスの、
“体験そのものを売る列車”へ変えてしまった。

これは単なる延命なのか。
それとも、
国鉄型車両の価値をまったく別の場所から掘り起こした再生なのか。

普通列車として生まれ、
一度は廃車になり、
最後には幻の豪華列車を名乗る。

キハ40系の長い歴史の中でも、
ここまで猛烈な人生を送った2両は、
そう多くないでしょう。

「或る列車」

名前は曖昧ですが、その中身は間違いなく、
JR九州らしさ全開のD&S列車なのです。

(マイミー)

【JR九州特集・D&S列車編 Vol.6】キハ47形・或る列車。廃車になった国鉄型を“幻の豪華列車”へ蘇らせた究極の再生

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