【何のタメにある?】前面窓下"ステンレス帯"(103系高運転台車)
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通勤形電車の代名詞、と言っても差し支えないでしょう、
国鉄103系電車は、1963年に登場。
駅間距離の短い都市圏路線での運用を念頭に、
高い加速性能と経済性を追求した車両で、
実に3,000両を超える一大勢力を築きました。
前面は、天地寸法の大きな前面窓を備えた、
101系譲りの“低運転台”形。
1974年には、量産冷房車の登場に合わせ、高運転台構造へと変化します。
理由は、山手線・京浜東北線へのATC導入に備えた機器スペースの確保。
そして、踏切事故など衝突時における乗務員の安全性と、前方視認性を向上させるためでした。
さて、高運転台車の顔と言えば、前面窓下を横切る“銀色の一本線”。
このステンレス帯、何らかの補強材にも見えますが、実のところ、
窓位置が上がったことで広くなった窓下部分の“間延び”を抑える、デザイン上の飾り帯でした。
本回は、この"帯位置"のおはなし。
サムネイルは、低運転台車と高運転台車を並べています。
お気づきになると思いますが、
高運転台車のステンレス帯は、低運転台車における前面窓の下辺と、ほぼ同じ高さに配置されているのです。
偶然なのか、はたまた緻密に検討、設計された結果か。
私は、この位置こそ、
低運転台車の前面窓が持っていた“黄金比”を
再現した証左ではないかと考えています。
窓を上へ移し、安全性と機能性を高めながらも
、従来車の端正な顔立ちを形づくっていた基準線は残す。
その線を、ステンレス帯という新たな意匠に託したのではないか。
一見すれば、ただの銀色の帯。
しかし、その一本には、機能の変化によって崩れた顔の均衡を取り戻す、設計者の細やかな思慮が込められている。
国鉄形車両、
とりわけ、通勤形電車はコスト重視の簡易的な意匠と言う評判がつきものですが、
それはそうと、
機能一辺倒に見えて、実によくデザインが考えられている。
103系に至っては、
誕生からもう60余年の時が過ぎていますが、
未だに感心させられます。
(Mr.DIMER編集長)