【片や引退、片や現役】キハN183系とキハ185系の分かれ道
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<同じ日に走り始めた国鉄最後期の特急型気動車、北と南で別れた運命>
1986年11月1日。
国鉄最後の全国ダイヤ改正に合わせ、
北海道ではキハ183系500・1500番台、
いわゆる「N183系」が営業運転を開始。
そして同じ日、
遠く離れた四国でも
新型特急形気動車が営業運転を開始しています。
キハ185系です。
同じ国鉄。
同じ1986年製。
そして、奇しくも営業運転開始日まで同じ。
ところが約40年後、
両者の運命には少なからぬ差が生じました。
※本稿でいうキハ183系は北海道向けの500・1500番台を中心とし、JR九州が後年新製したキハ183系1000番台は除きます。
■北海道へ渡った「N183系」
キハ183系そのものは、
1979年に試作車が登場した形式です。
しかし1986年に登場した500・1500番台は、
従来車から大幅に設計を変更。
前面は貫通型となり、
側面には連続窓風の処理を採用。
機関出力も引き上げられ、
短編成化と高速化へ対応するなど、
事実上のモデルチェンジ車となりました。
対するキハ185系も、
同じく貫通型前面と連続窓風の側面を採用。
外観だけを見ても、
同じ時代に生まれた車両であることが感じられます。
しかし、その設計思想には
大きな違いがありました。
■「高性能」の183、「軽量・簡素」の185
北海道のキハ183系に求められたのは、
広大な北海道を高速で走り抜ける性能と、
厳冬期にも耐える耐寒・耐雪性能でした。
一方のキハ185系は、
分割民営化後の経営基盤が弱いと予想された
JR四国を見据えて投入された車両。
製造費、燃料費、保守費を抑えることが
強く意識されています。
国鉄の特急形気動車として初めて
軽量ステンレス車体を採用。
短編成運転を前提として
先頭車を主体とした構成とし、
普通列車への転用まで考慮して
1両2か所の乗降扉を備えました。
豪華さや絶対的な走行性能を追求するというより、
「安く造り、安く走らせ、幅広く使える」。
後に訪れる時代を、
かなり正確に先取りした車両だったと言えます。
■そして、40年後。
北海道のキハ183系は、
長距離・高速運転を繰り返しながら使用されました。
加えて北海道という環境は、
車両にとって決して穏やかなものではありません。
JR北海道では183系の老朽化に伴い、
腐食や機器類の劣化が問題となり、
後継となるキハ261系などへの置き換えを進めました。
1986年に登場したN183系も、
2023年3月に定期運用を終了。
同年4月10日のラストランをもって、
北海道での運行を終えています。
営業開始から約36年5か月でした。
ところが――
同じ1986年11月1日に走り始めた
キハ185系はというと、
2026年現在も現役。
JR四国では特急「剣山」に、
JR九州では「ゆふ」「九州横断特急」などに使用されています。
国鉄時代に製造された初期車は、
まもなく車齢40年。
N183系のラストランから
すでに3年以上が経過しました。
そればかりか2026年には、
JR四国で余剰となったキハ185系2両が
JR九州へ有償譲渡されています。
40年選手を、
別会社が改めて購入したのです。
もちろん、
「ステンレスだから長生きした」
だけで説明できる話ではありません。
走行距離、使用環境、
会社ごとの車両更新計画、
そして必要とされた役割。
様々な条件が重なった結果でしょう。
それでも、
高速・長距離輸送を担うために生まれたキハ183系と、
軽量・低コスト・小単位輸送を重視したキハ185系。
国鉄末期、
異なる事情を抱えた北海道と四国へ送り込まれた
二つの特急形気動車は、
40年という時間を経て、
その設計思想の違いを
車両寿命という形でも見せることとなりました。
1986年11月1日。
同じ日に走り始めた両者。
キハ183系が北の大地から姿を消して3年余り。
キハ185系は、
今なお走り続けています。
(Mr.DIMER編集長)


