【“エイリアン顔”】六兄弟<前編>
マイミー共有
255系、E351系、E259系、E655系、E657系、E353系
30年以上にわたって受け継がれた異形のフロントマスク
黒く、大きく切り取られた運転台窓。
その下から、こちらを睨みつけるように光る前照灯。
そして、前方へ突き出した独特の鼻先。
JR東日本の特急車両には、どこか生き物のような・・・
いや、まるで宇宙から飛来した“エイリアン”のような顔を持つ車両たちが存在します。
255系、E351系、E655系、E259系、そしてE657系。
用途も、走る路線も、設計された時代も違う6形式。
しかし正面から見比べてみると、そこには確かに共通する“異形のDNA”が感じられる気がするのです。
■すべての始まりは255系?
1993年7月。
房総特急「ビューわかしお」「ビューさざなみ」として、255系が登場しました。
大きな黒い運転台窓。
低い位置に、左右へ離して配置された前照灯。
そして、青く前方へ張り出した鋭いフロントマスク。
国鉄形特急の“人間らしい顔”を見慣れていた当時の利用者にとって、その姿はまさに未知との遭遇でした。
JR東日本の特急形車両として、初めてVVVFインバータ制御を採用。
さらに1993年には、グッドデザイン賞も受賞しています。
美しい。
洗練されている。
しかし、どこか不気味。
これこそが、JR東日本における“エイリアン顔”の始祖ではないでしょうか。
255系は2024年6月に定期運用を終えましたが、
一部編成はその後も残り、臨時列車として活躍。
最初に地球へ降り立った“始祖”は、まだ完全には姿を消していないのです。
■同じ年に現れた突然変異、E351系
255系の登場から、およそ半年後。
中央本線に、さらなる異形の車両が現れます。
特急「スーパーあずさ」用として誕生したE351系です。
JR東日本で初めて、制御付き自然振り子方式を採用。
曲線の連続する中央本線を高速で駆け抜けるため、車体は低重心で丸みを帯びた、卵のような断面となりました。
そこへ高運転台と巨大な黒い窓を組み合わせた結果、その顔は鉄道車両というより、もはや“生物”。
さらに非貫通型先頭車には、大型LED式の愛称表示器を搭載。
暗闇の中から表示器と前照灯を光らせて迫る姿は、五兄弟の中でも圧倒的なエイリアン感を放っていました。
255系が“始祖”なら、E351系は“突然変異”。
合理性と速度を追求した結果、偶然生まれてしまった異形の傑作だったのではないでしょうか。
■漆色に身を包んだ皇室仕様、E655系
それから14年後の2007年。
この異形のDNAは、思いもよらぬ形で復活します。
ハイグレード車両E655系「なごみ(和)」。
団体臨時列車として使用されるだけでなく、特別車両を組み込むことでお召し列車にもなる、日本を代表する特別な電車です。
漆を思わせる、深く艶やかな車体色。
光の当たり方によって、茶色にも紫色にも見える特殊な塗装。
そこに組み合わされたのが、高運転台と鋭く吊り上がった前照灯でした。
気品に満ちている。
重厚で、威厳もある。
それなのに正面から見ると、やっぱりエイリアン。
六兄弟の中でも、明らかに別格の存在。
いわば・・・
“ロイヤル・エイリアン”……。
続く・・・
(マイミー)


