最近流行りのクルマに見られるアレ...もしや0系がハシリ?!
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<"元々は光っていた0系の"鼻"、光前頭。>
近年、自動車のデザインは
より複雑化し、
凝った造形になりつつあります。
と同時に
ライト類とは別に
LEDを多く採用、活用しており、
グリルの外周や
エンブレムが光るというギミックも見られます。
なんでも光らせれば
いいと思うな!
と怒られそうなところ、
前照灯、尾灯をさて置き、
"連結器カバーの光る新幹線"があったことを
覚えていますでしょうか。
0系新幹線電車です。
■「団子鼻」の正体
0系を象徴する、
丸みを帯びた先頭形状。
なかでも先端に取り付けられた
半球状の"団子鼻"は、
単なるデザインではありません。
この内部には、
故障した車両を救援する際などに使用する
非常用の連結器が収められており、
鼻そのものは、
それを覆うための
"連結器カバー"になっています。
そして東海道新幹線開業当初、
このカバーはそののち標準となった
不透明のFRP製ではなく、
"半透明のアクリル樹脂製。"
内部の光を透過し、
鼻全体がぼんやりと光る、
その名も、
「光前頭(ひかりぜんとう)」
(お恥ずかしいことに筆者はこれまで"こうぜんとう"と読んでいました)
という仕掛けが備わっていました。
■元祖は0系ではなかった
もっとも、
鼻を光らせる構想そのものは
0系で突然生まれたわけではありません。
その原型となったのが、
東海道新幹線開業に先立って製造された
"新幹線試験電車1000形"。
1962年から鴨宮モデル線などで
高速試験に使用された車両です。
この1000形では、
光前頭の内部に "蛍光灯"を設置。
左右の前照灯とは別に、
鼻そのものを独立して発光させるという、
文字通り、鼻の"光る新幹線"でした。
高速鉄道そのものが
世界的にも未知の領域であった時代。
地上から走行する列車を
より認識しやすくする目的もあったとされ、
200km/hを超える鉄道に必要な設備を
ひとつひとつ模索していた時代ならではの
装備であったと言えます。
■0系では「ほんのり光る鼻」に
実際に量産された0系では
連結器カバー内部への蛍光灯は採用されませんでした。
光前頭そのものは残されたものの、
光源となったのは
両脇に設置された前照灯。
半透明のアクリル製カバーへ
前照灯の光が回り込み、
夜間には
鼻全体がぼんやりと白く光りました。
そして最後尾では、
尾灯の赤い光が漏れることで
鼻がうっすら赤く見えることもあったとされます。
つまり0系の光前頭は、
鼻の中にランプを仕込み
積極的に光らせる設備というより、
"半透明の鼻へ周囲の灯火を透過させる構造"
へと変化していたわけです。
■「光る鼻」を終わらせた200km/h
しかし、
せっかくの光前頭には
思わぬ弱点がありました。
"割れる"
最高速度200km/hを超えて走る0系では、
飛来する鳥との衝突も
相当な衝撃となります。
半透明であることを優先した
アクリル製の前頭カバーは
鳥との衝突などによって破損する事例が発生。
そこで国鉄は、
強度に優れる
"FRP=繊維強化プラスチック製"の
前頭カバーへ変更します。
FRP製は不透明。
当然、内部から光を当てても
従来のようには透過しません。
こうして、
0系の特徴のひとつとして誕生した
"光る団子鼻"は、
新幹線が実際に高速鉄道として
走り始めたことで得られた経験によって、
早々に姿を消していくこととなりました。
■いま見ることのできる「光前頭」
さいたま市の鉄道博物館に保存されている
0系21形2号車は、
展示に際して
開業当時の姿へ復元され、
半透明のアクリル製光前頭を
取り付けた姿を見ることができます。
自動車のグリルが光り、
エンブレムが光り、
"光"そのものを
デザインとして活用することが
珍しくなくなった現代。
その60年以上前、
1960年代初頭の日本では、
世界初の高速鉄道を作る過程で
"新幹線の鼻を丸ごと光らせようとしていた。"
もっとも、
今日の自動車のような
装飾を目的としたものではありません。
高速鉄道という
前例のない乗り物を生み出すなか、
必要と思われるものを
実車で試し、
不要であれば捨て、
問題があれば改良する。
光前頭は、
完成された0系の愛嬌ある"団子鼻"の裏側に残る、
"新幹線開発黎明期の試行錯誤の痕跡"
とも言える装備だったのです。
(Mr.DIMER編集長)