【神出鬼没】特大貨車「シキ」

【神出鬼没】特大貨車「シキ」

マイミー

日本を走る貨物列車の中でも、
その迫力は間違いなく最重量級。

発電所や変電所で使用される、巨大な変圧器。

その“規格外の荷物”を鉄路で運ぶために造られたのが、
大物車と呼ばれる特大貨車。

「シキ」です。

貨車の形式記号では、
「シ」が大物車
「キ」が積載重量25トン以上を表します。

しかし実際のシキが運ぶのは、
皆さんもご存知の通り25トンどころの話ではありません。

時には100トンを大きく超える巨大変圧器を抱え、
何十個もの車輪で重量を線路へ分散させながら、
豪快なジョイント音と共に目的地へ向かいます。

なかでも有名なのが、1973年から製造されたシキ800形。

日本通運の私有貨車として誕生し、
長年にわたって大型変圧器の輸送を担ってきました。

巨大な荷物を前後の荷受梁で挟み込み、
変圧器そのものが貨車の車体の一部になったような姿。
幾重にも連なる台車。
異様な数の車輪。
線路を踏みしめるように進む、圧倒的な重量感。

もはや貨車というより、
鉄路を走る巨大構造物です。

故に、橋梁が重量に耐えられるのか。
ホームやトンネルに接触しないのか。
曲線で荷物がはみ出さないのか。

輸送前には経路を細かく調査し、
場合によっては低速で、慎重に運転されます。

しかも、変圧器輸送が必要な時だけ走る特殊な貨車。

定期列車のように毎日姿を見せるわけではなく、
運転日や経路も限られています。

だからこそ、その姿を目撃できた時の衝撃は大きい。
「神出鬼没」と言えるのではないかと思います。

黒い巨大な車体が、
豪快な音と共に、近づいてくる。

「なんだ、あの貨車は……」

初めて見た人なら、
思わずそう声を漏らしてしまうはずです。

道路輸送や船舶輸送の発達により、シキが活躍する機会は以前より少なくなりました。

それでも、道路では運ぶことのできない超重量物を、
鉄道だからこそ運べる場面が残されています。

普段はどこにいるのか分からない。
しかし必要とされた時には、巨大な荷物を背負って静かに現れる。

大量の荷物を運ぶ貨物列車の中で、
たった一つの変圧器を運ぶためだけに走る列車。

神出鬼没の特大貨車「シキ」。

その姿は今もなお、
日本の鉄道貨物が持つ底知れない力を、私たちに見せつけてくれてる気がします。

(マイミー)

【神出鬼没】特大貨車「シキ」

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