Mr.DIMER Journal
【なぜダボダボ?】鉄道車両の通称「ダボ幌」とは…
<鉄道車両の顔に見られる、妙に膨らんだ“アレ”> 先頭部の貫通幌が妙にダボダボと膨らんでいる車両を見かけることがあります。 きれいな蛇腹状ではなく、左右へ広がったり、一部分だけ前へ飛び出したり。 鉄道趣味の世界では、こうした幌を俗に「ダボ幌」「ダボホロ」と呼ぶことがあります。(私は"ぼわぼわの幌"と呼んでましたが) そもそも貫通幌とは、車両同士を連結した際、車両間を安全に行き来できる通路をつくるためのもの。 内部には幌の形状を保持する骨組みがあり、これを折り畳むことで、使用しない際には車体側へ収めることができます。 ところが長年使用していると、この骨組みが少しずつ変形。 幌布にも折り癖が付き、収納しても新品時のように整然とは畳まれなくなります。 その結果―― 幌が左右へ膨らみ、いかにも「ダボッ」とした姿になるというわけです。 単なる経年変化の結果ですが、しかし、くたびれて不揃いになった幌は、長年現場で使われ続けた車両ならではの表情とも言え、これもまた乙なもの。 編集長的ザ・ベストな"ダボ幌"は。 JR北海道の721系。 ダボ幌自体は、日本全国で見られる現象ですが、特に北海道車は大きく膨らんだ幌を持っている印象です。 はて、酷寒地だからこそ、幌を劣化させる要素が揃っているのか… それはそうと、整然としていないからこそ、一両一両で微妙に表情が異なる。 鉄道車両の「顔」を眺めるとき、そんな幌の形にも注目してみてはいかがでしょうか。 (Mr.DIMER編集長)
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<鉄道車両の顔に見られる、妙に膨らんだ“アレ”> 先頭部の貫通幌が妙にダボダボと膨らんでいる車両を見かけることがあります。 きれいな蛇腹状ではなく、左右へ広がったり、一部分だけ前へ飛び出したり。 鉄道趣味の世界では、こうした幌を俗に「ダボ幌」「ダボホロ」と呼ぶことがあります。(私は"ぼわぼわの幌"と呼んでましたが) そもそも貫通幌とは、車両同士を連結した際、車両間を安全に行き来できる通路をつくるためのもの。 内部には幌の形状を保持する骨組みがあり、これを折り畳むことで、使用しない際には車体側へ収めることができます。 ところが長年使用していると、この骨組みが少しずつ変形。 幌布にも折り癖が付き、収納しても新品時のように整然とは畳まれなくなります。 その結果―― 幌が左右へ膨らみ、いかにも「ダボッ」とした姿になるというわけです。 単なる経年変化の結果ですが、しかし、くたびれて不揃いになった幌は、長年現場で使われ続けた車両ならではの表情とも言え、これもまた乙なもの。 編集長的ザ・ベストな"ダボ幌"は。 JR北海道の721系。 ダボ幌自体は、日本全国で見られる現象ですが、特に北海道車は大きく膨らんだ幌を持っている印象です。 はて、酷寒地だからこそ、幌を劣化させる要素が揃っているのか… それはそうと、整然としていないからこそ、一両一両で微妙に表情が異なる。 鉄道車両の「顔」を眺めるとき、そんな幌の形にも注目してみてはいかがでしょうか。 (Mr.DIMER編集長)
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【お尋ね】JR東日本通勤電車のスカートは、なぜ”グレー”から”黒”になった?
鉄道車両の前面下部に取り付けられている、障害物を排除するための「スカート」。 JR東日本の通勤・一般形電車を眺めていると、いつの間にやら、このスカートの”色”が変わっていることに気付きます。 E231系、E233系などでは、車体下部にグレー・シルバー系のスカートを装着していました。 ところが、2015年に登場したE235系では、これが黒色へ。 そして2021年に営業運転を開始したE131系でも、黒いスカートが採用されています。 単なるデザインの変化かと思いきや、気になる資料がありました。 2020年5月、JR東日本がE131系の投入を発表した際に掲載された完成イメージを見ると、スカートは”グレー”で表現。 ところが実際に落成したE131系では、ご存知の通り黒色となりました。 つまり少なくともE131系では、発表時点から実車の完成までの間に、スカートの色が変更されたことになります。 JR東日本はE235系について、大きな前面窓などを「情報の窓」とするデザインコンセプトを説明。 E131系についても、房総の海をイメージした青色、菜の花をイメージした黄色、波しぶきを表現した前面の水玉模様など、その意匠について細かく説明しています。 ところが―― “なぜスカートを黒くしたのか” については、調べた限り明確な説明を見つけることができませんでした。 ブラックフェイスから床下までを一体的に見せるためなのか。 汚れを目立たせないためなのか。 あるいは保守上、塗装上の理由があるのか。 それとも、E235系以降の新しい車両デザインとして、単純に黒色が選ばれているだけなのか。 とりわけ、一度は”グレー”で描かれたE131系が、なぜ実車では”黒”になったのでしょう。 この変更について、事情をご存知の諸先輩方。 是非、教えて下さい。 (Mr.DIMER編集長)
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鉄道車両の前面下部に取り付けられている、障害物を排除するための「スカート」。 JR東日本の通勤・一般形電車を眺めていると、いつの間にやら、このスカートの”色”が変わっていることに気付きます。 E231系、E233系などでは、車体下部にグレー・シルバー系のスカートを装着していました。 ところが、2015年に登場したE235系では、これが黒色へ。 そして2021年に営業運転を開始したE131系でも、黒いスカートが採用されています。 単なるデザインの変化かと思いきや、気になる資料がありました。 2020年5月、JR東日本がE131系の投入を発表した際に掲載された完成イメージを見ると、スカートは”グレー”で表現。 ところが実際に落成したE131系では、ご存知の通り黒色となりました。 つまり少なくともE131系では、発表時点から実車の完成までの間に、スカートの色が変更されたことになります。 JR東日本はE235系について、大きな前面窓などを「情報の窓」とするデザインコンセプトを説明。 E131系についても、房総の海をイメージした青色、菜の花をイメージした黄色、波しぶきを表現した前面の水玉模様など、その意匠について細かく説明しています。 ところが―― “なぜスカートを黒くしたのか” については、調べた限り明確な説明を見つけることができませんでした。 ブラックフェイスから床下までを一体的に見せるためなのか。 汚れを目立たせないためなのか。 あるいは保守上、塗装上の理由があるのか。 それとも、E235系以降の新しい車両デザインとして、単純に黒色が選ばれているだけなのか。 とりわけ、一度は”グレー”で描かれたE131系が、なぜ実車では”黒”になったのでしょう。 この変更について、事情をご存知の諸先輩方。 是非、教えて下さい。 (Mr.DIMER編集長)
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宇野線の栄華と衰退
<かつては本四の大動脈。瀬戸大橋が、その使命を変えた> 岡山駅から瀬戸内海に面する宇野駅へ。 現在では「宇野みなと線」の愛称を持ち、地域輸送を担う宇野線ですが、かつて、この路線には現在からは想像しにくいほどの重要な役割が与えられていました。 本州と四国を結ぶ、大動脈です。 宇野線が開業したのは1910年6月12日。 同日、宇野―高松間には国鉄の「宇高連絡船」が就航しました。 岡山から宇野まで列車で南下し、宇野から船で瀬戸内海を渡り、高松から再び列車へ。 こうして宇野線は、本州と四国を結ぶ鉄道ネットワークの一部を担うことになります。 その地位は戦後、さらに高まることとなります。 関西方面からは四国連絡急行「鷲羽」が宇野まで乗り入れ、最盛期には定期・臨時を合わせて実に11往復を数えています。 さらに東京からも、寝台特急「瀬戸」が宇野へ。 地方都市へ向かう一ローカル線ではありません。 宇野駅は「終着駅」でありながら、その先に四国全土を控えた巨大な乗換駅でもあったのです。 しかし、その栄華には二度の転機が訪れます。 まずは1972年。 山陽新幹線が岡山まで開業すると、関西方面から宇野まで直通する列車の意義が薄れ、急行「鷲羽」は大幅に縮小。 長距離輸送の主役は「大阪から宇野へ直通」する形から、「新幹線で岡山へ向かい、宇野線へ乗り換える」形へと変化しました。 そして決定打となったのが、1988年4月10日の瀬戸大橋開業です。 岡山から茶屋町を経て、児島、瀬戸大橋、坂出へ。 本州と四国は、ついに一本のレールで結ばれました。 同時に宇高連絡船はその役目を終え、東京―宇野間を走っていた寝台特急「瀬戸」も、瀬戸大橋を渡って高松へ直通。 四国へ向かう列車は茶屋町から宇野へ向かわず、児島方面へ進むようになります。 昨日まで四国への大動脈だった茶屋町―宇野間は、一夜にして本四連絡の主役から退きました。 これは、"宇野線"そのものが廃れたというよりも、「より便利な鉄道ができた結果、鉄道の役割が失われた」という、"進化の過程で生まれた"、「衰退」でもあります。 現在の宇野駅に、かつてのような、東京から寝台特急が到着することはありません。 しかし宇野線は消えず、2016年には「宇野みなと線」の愛称が与えられ、瀬戸内観光へのアクセス路線として新たな役割を担っています。 四国への玄関口から、瀬戸内の港町へ向かう路線へ。 宇野線ほど、交通網の変化によってその立場を劇的に変えた路線も、そう多くはないでしょう。 (Mr.DIMER編集長)
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<かつては本四の大動脈。瀬戸大橋が、その使命を変えた> 岡山駅から瀬戸内海に面する宇野駅へ。 現在では「宇野みなと線」の愛称を持ち、地域輸送を担う宇野線ですが、かつて、この路線には現在からは想像しにくいほどの重要な役割が与えられていました。 本州と四国を結ぶ、大動脈です。 宇野線が開業したのは1910年6月12日。 同日、宇野―高松間には国鉄の「宇高連絡船」が就航しました。 岡山から宇野まで列車で南下し、宇野から船で瀬戸内海を渡り、高松から再び列車へ。 こうして宇野線は、本州と四国を結ぶ鉄道ネットワークの一部を担うことになります。 その地位は戦後、さらに高まることとなります。 関西方面からは四国連絡急行「鷲羽」が宇野まで乗り入れ、最盛期には定期・臨時を合わせて実に11往復を数えています。 さらに東京からも、寝台特急「瀬戸」が宇野へ。 地方都市へ向かう一ローカル線ではありません。 宇野駅は「終着駅」でありながら、その先に四国全土を控えた巨大な乗換駅でもあったのです。 しかし、その栄華には二度の転機が訪れます。 まずは1972年。 山陽新幹線が岡山まで開業すると、関西方面から宇野まで直通する列車の意義が薄れ、急行「鷲羽」は大幅に縮小。 長距離輸送の主役は「大阪から宇野へ直通」する形から、「新幹線で岡山へ向かい、宇野線へ乗り換える」形へと変化しました。 そして決定打となったのが、1988年4月10日の瀬戸大橋開業です。 岡山から茶屋町を経て、児島、瀬戸大橋、坂出へ。 本州と四国は、ついに一本のレールで結ばれました。 同時に宇高連絡船はその役目を終え、東京―宇野間を走っていた寝台特急「瀬戸」も、瀬戸大橋を渡って高松へ直通。 四国へ向かう列車は茶屋町から宇野へ向かわず、児島方面へ進むようになります。 昨日まで四国への大動脈だった茶屋町―宇野間は、一夜にして本四連絡の主役から退きました。 これは、"宇野線"そのものが廃れたというよりも、「より便利な鉄道ができた結果、鉄道の役割が失われた」という、"進化の過程で生まれた"、「衰退」でもあります。 現在の宇野駅に、かつてのような、東京から寝台特急が到着することはありません。 しかし宇野線は消えず、2016年には「宇野みなと線」の愛称が与えられ、瀬戸内観光へのアクセス路線として新たな役割を担っています。 四国への玄関口から、瀬戸内の港町へ向かう路線へ。 宇野線ほど、交通網の変化によってその立場を劇的に変えた路線も、そう多くはないでしょう。 (Mr.DIMER編集長)
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【特急列車の未来】“万能特急”はもう生まれない?これからを担う新時代の特急型とは。
かつて日本には、“どこへでも行ける特急型”がいました。 その代表格が485系。 直流1500V、交流50Hz・60Hzに対応し、東北、北陸、関西、九州まで、日本列島を縦横無尽に駆け回った国鉄特急の万能選手です。昼行特急から夜行列車までこなし、転属を繰り返しながら全国各地で活躍。 まさに、「とりあえず485系を持ってくれば何とかなる。」そんな存在でした。 ではこれから先、485系のような“万能特急”は再び生まれるのでしょうか。私の独断と偏見で言えば、おそらく答えは「NO」。しかし、それは特急型が退化したという意味ではありません。 むしろ時代は、“何でもできる車両”から、その路線で「最強」の車両へ。大きく変わり始めています。 「通勤型とは、むしろ逆方向へ」ここが面白いところです。現在の通勤型電車は、設計や機器を共通化し、標準化する方向へ進んでいます。 部品を共通化して保守をしやすくする。製造コストを抑える。複数の線区で使いやすくする。大量に必要な通勤型だからこそ、「なるべく同じものを効率よく使う」そんな思想が強くなっています。 ところが、特急型はむしろ逆。 通勤型が“標準化”へ向かう一方で、特急型は“専用化”へ向かっているとは思いませんか? 「273系・伯備線を極めた新世代振り子車両」 その代表格が、2024年に営業運転を開始した273系「やくも」。長年伯備線を走った381系の後継として誕生しました。最大の特徴は、「車上型制御付き自然振り子方式」。車両側で走行位置を把握し、カーブへ入るタイミングに合わせて振り子動作を制御。 速達性を維持しながら、乗り心地の改善を狙っています。全席コンセントや大型荷物スペースなど、設備面も現代仕様。しかし重要なのは、273系が「全国どこでも走るための車両」ではないこと。 伯備線という曲線の多い山岳路線。そして「やくも」という列車。そこへ徹底的に合わせて造られています。 「385系・(しなの)のために進化する次世代特急」 さらに、この流れを強く感じさせるのが385系。383系「しなの」の後継を見据え、JR東海が開発を進める次世代特急型電車です。名古屋から長野へ向かう中央西線は、とにかくカーブが多い。そこで385系では、新しい振子制御技術を採用。383系が築いた曲線通過性能を受け継ぎながら、さらに乗り心地を向上させることが狙われています。 つまり385系に求められているのも、「全国で使えること」ではありません。“中央西線で、いかに速く、快適に走るか。”そこへ能力を振り切った車両です。 「HC85系・気動車という常識まで変えた特急型」 そしてもう一両。新時代を象徴する存在として外せないのがHC85系です。キハ85系の後継として登場しましたが、形式名には「キハ」の文字がありません。HC85系は、従来のディーゼルカーとは仕組みが大きく異なります。エンジンで発電した電気と蓄電池の電力を使い、モーターで車輪を回すハイブリッド方式。 非電化区間を走る特急だからといって、昔ながらの液体式気動車でなければならない。そんな常識も、過去のものになりつつあります。 現在は「ひだ」「南紀」で活躍。 環境性能だけでなく、静粛性、加速性能、快適性まで含め、 “非電化特急とはどうあるべきか。” その答えを一から作り直した車両とも言えるでしょう。 「同じものを使う通勤型」と「違うものを造る特急型」 こうして見ると、現代の鉄道車両は面白い方向へ進んでいます。 通勤型は、標準化。共通化。大量生産。保守の効率化。 一方の特急型は、線区専用。列車専用。乗り心地重視。その路線ならではの性能。 同じ鉄道車両でありながら、両者は逆方向へ進んでいるのです。 もちろん、特急型にも部品共通化やコスト削減は必要です。それでも最後に残るのは、...
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かつて日本には、“どこへでも行ける特急型”がいました。 その代表格が485系。 直流1500V、交流50Hz・60Hzに対応し、東北、北陸、関西、九州まで、日本列島を縦横無尽に駆け回った国鉄特急の万能選手です。昼行特急から夜行列車までこなし、転属を繰り返しながら全国各地で活躍。 まさに、「とりあえず485系を持ってくれば何とかなる。」そんな存在でした。 ではこれから先、485系のような“万能特急”は再び生まれるのでしょうか。私の独断と偏見で言えば、おそらく答えは「NO」。しかし、それは特急型が退化したという意味ではありません。 むしろ時代は、“何でもできる車両”から、その路線で「最強」の車両へ。大きく変わり始めています。 「通勤型とは、むしろ逆方向へ」ここが面白いところです。現在の通勤型電車は、設計や機器を共通化し、標準化する方向へ進んでいます。 部品を共通化して保守をしやすくする。製造コストを抑える。複数の線区で使いやすくする。大量に必要な通勤型だからこそ、「なるべく同じものを効率よく使う」そんな思想が強くなっています。 ところが、特急型はむしろ逆。 通勤型が“標準化”へ向かう一方で、特急型は“専用化”へ向かっているとは思いませんか? 「273系・伯備線を極めた新世代振り子車両」 その代表格が、2024年に営業運転を開始した273系「やくも」。長年伯備線を走った381系の後継として誕生しました。最大の特徴は、「車上型制御付き自然振り子方式」。車両側で走行位置を把握し、カーブへ入るタイミングに合わせて振り子動作を制御。 速達性を維持しながら、乗り心地の改善を狙っています。全席コンセントや大型荷物スペースなど、設備面も現代仕様。しかし重要なのは、273系が「全国どこでも走るための車両」ではないこと。 伯備線という曲線の多い山岳路線。そして「やくも」という列車。そこへ徹底的に合わせて造られています。 「385系・(しなの)のために進化する次世代特急」 さらに、この流れを強く感じさせるのが385系。383系「しなの」の後継を見据え、JR東海が開発を進める次世代特急型電車です。名古屋から長野へ向かう中央西線は、とにかくカーブが多い。そこで385系では、新しい振子制御技術を採用。383系が築いた曲線通過性能を受け継ぎながら、さらに乗り心地を向上させることが狙われています。 つまり385系に求められているのも、「全国で使えること」ではありません。“中央西線で、いかに速く、快適に走るか。”そこへ能力を振り切った車両です。 「HC85系・気動車という常識まで変えた特急型」 そしてもう一両。新時代を象徴する存在として外せないのがHC85系です。キハ85系の後継として登場しましたが、形式名には「キハ」の文字がありません。HC85系は、従来のディーゼルカーとは仕組みが大きく異なります。エンジンで発電した電気と蓄電池の電力を使い、モーターで車輪を回すハイブリッド方式。 非電化区間を走る特急だからといって、昔ながらの液体式気動車でなければならない。そんな常識も、過去のものになりつつあります。 現在は「ひだ」「南紀」で活躍。 環境性能だけでなく、静粛性、加速性能、快適性まで含め、 “非電化特急とはどうあるべきか。” その答えを一から作り直した車両とも言えるでしょう。 「同じものを使う通勤型」と「違うものを造る特急型」 こうして見ると、現代の鉄道車両は面白い方向へ進んでいます。 通勤型は、標準化。共通化。大量生産。保守の効率化。 一方の特急型は、線区専用。列車専用。乗り心地重視。その路線ならではの性能。 同じ鉄道車両でありながら、両者は逆方向へ進んでいるのです。 もちろん、特急型にも部品共通化やコスト削減は必要です。それでも最後に残るのは、...
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【試作車の特徴?】"目つきが鋭い"100系のお話
100系といえば、0系の丸みを帯びた姿から一転、細長い前照灯と「シャークノーズ」による精悍な顔立ちが特徴の新幹線電車、でした。 しかし――同じ100系でも、よく見ると妙に「目つきの鋭い」車両が存在しました。 100系の試作車として製造された9000番台・X0編成のことです。 1985年に登場したX0編成は、後の量産車とは細かな部分が異なっており、そのひとつが前照灯。 試作車では前照灯が量産車よりも強く傾斜しており、正面から見ると明らかに「つり目」。 一方、量産車ではこの角度が緩められ、私たちがよく知る100系のやや穏やかな表情となりました。 違いは目だけではありません。 X0編成には、量産車より小さな客室窓が並ぶほか、先頭車の細部や扉配置などにも試作車特有の仕様が存在しました。 その後、X0編成は量産化改造を受けて「X1編成」となりますが、この特徴的なつり目の前照灯は残されました。 つまり100系が活躍していた時代、編成番号を知らなくても、 「なんだかこの100系、目つきが鋭いぞ」 と感じたなら、それは元・試作車のX1編成だった可能性が高いわけです。 一見ほとんど同じに見える100系。 しかし顔つきを見れば、たった1編成しか存在しなかった試作車の面影を見分けることができました。 その後、量産車の登場、営業運転での実績を受け、本編成も"量産化改造"を受けることになりますが、これにより消えていった「試作車らしさ」は、表情に残されていたのです。 (Mr.DIMER編集長)
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100系といえば、0系の丸みを帯びた姿から一転、細長い前照灯と「シャークノーズ」による精悍な顔立ちが特徴の新幹線電車、でした。 しかし――同じ100系でも、よく見ると妙に「目つきの鋭い」車両が存在しました。 100系の試作車として製造された9000番台・X0編成のことです。 1985年に登場したX0編成は、後の量産車とは細かな部分が異なっており、そのひとつが前照灯。 試作車では前照灯が量産車よりも強く傾斜しており、正面から見ると明らかに「つり目」。 一方、量産車ではこの角度が緩められ、私たちがよく知る100系のやや穏やかな表情となりました。 違いは目だけではありません。 X0編成には、量産車より小さな客室窓が並ぶほか、先頭車の細部や扉配置などにも試作車特有の仕様が存在しました。 その後、X0編成は量産化改造を受けて「X1編成」となりますが、この特徴的なつり目の前照灯は残されました。 つまり100系が活躍していた時代、編成番号を知らなくても、 「なんだかこの100系、目つきが鋭いぞ」 と感じたなら、それは元・試作車のX1編成だった可能性が高いわけです。 一見ほとんど同じに見える100系。 しかし顔つきを見れば、たった1編成しか存在しなかった試作車の面影を見分けることができました。 その後、量産車の登場、営業運転での実績を受け、本編成も"量産化改造"を受けることになりますが、これにより消えていった「試作車らしさ」は、表情に残されていたのです。 (Mr.DIMER編集長)
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【デザインの変化】ホームドアの設置で変わりゆく"横帯"の在り方
<横に引くのが当たり前だったラインカラー。ホームドアの普及が、その常識を変え始めています。> ステンレス製の車体に、一本の色帯を通す。 首都圏の通勤電車では、長らく当たり前に見られてきたデザインです。 山手線ならウグイス色。中央線ならオレンジ。京浜東北線ならスカイブルー。 無機質な銀色の車体にラインカラーを配することで、遠目からでも「何線の電車なのか」を判別できる。 車体を横方向に貫く帯は、装飾であると同時に、鉄道車両にとって重要な識別表示でもありました。 ところが近年、その「横帯」に変化が生じています。 理由のひとつが、ホームドアの普及です。 従来のラインカラーは、車体の窓下、いわゆる腰部へ配置されることが一般的でした。 しかしホームドアが設置されると、まさにその部分が隠れてしまいます。 何線の車両なのかを伝えるための色が、ホームから見えない。 安全設備の普及によって、車両側も「どこに色を置くのか」を考え直す必要が生じたのです。 その代表例が、2015年に登場した山手線E235系です。 先代のE231系500番台まで続いていた窓下のウグイス帯は姿を消し、E235系では乗降扉を中心として縦方向にラインカラーを配置。 ホームドア越しでも確認できる場所へ色そのものを移しました。 興味深いことに、同じE235系でも横須賀・総武快速線用の1000番台では、青とクリームの伝統的な横帯が採用されています。 ホームドアのない区間を多く走行することから、こちらでは従来型の横帯が残されたもの。 同じE235系でありながら、走る路線によってラインカラーの考え方まで異なるのです。 東京メトロでも、同様の変化を見ることができます。 丸ノ内線2000系では、かつての300形を思わせる白い「サインウェーブ」を復活させましたが、その位置は車体上部。 東京メトロ自身も、ホームドア区間でも見やすくするため上部へ配置したと説明しています。 さらに北綾瀬支線で使用された千代田線05系では、従来の腰部の帯に加え、わざわざ窓上にもラインカラーを追加。 ホームドアによって帯が見えなくなることを前提に、「もう一本、上に色を置く」という対応が採られました。 そして、この変化が現在も続いていることを示すのが、東京臨海高速鉄道りんかい線の新型71-000形です。 2025年10月に営業運転を開始した同形式では、エメラルドブルーのグラデーションを車体腰部だけでなく、窓まわりを含む上部まで大きく展開。 東京臨海高速鉄道は、その理由について「ホームドアの高さを考慮」したものと明記しています。 さらに号車表示や車いす、ベビーカーのピクトグラムについても、ホームドア越しに見やすい車体上部へ配置。 もはやホームドアは、完成した車両を後から隠してしまう設備ではありません。 新型車両を設計する段階から、「ホームドア越しにどう見えるのか」が外観デザインの条件に組み込まれているのです。 横へ引く。上へ移す。扉へ縦に配置する。あるいは車体上部まで大胆に色を広げる。...
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<横に引くのが当たり前だったラインカラー。ホームドアの普及が、その常識を変え始めています。> ステンレス製の車体に、一本の色帯を通す。 首都圏の通勤電車では、長らく当たり前に見られてきたデザインです。 山手線ならウグイス色。中央線ならオレンジ。京浜東北線ならスカイブルー。 無機質な銀色の車体にラインカラーを配することで、遠目からでも「何線の電車なのか」を判別できる。 車体を横方向に貫く帯は、装飾であると同時に、鉄道車両にとって重要な識別表示でもありました。 ところが近年、その「横帯」に変化が生じています。 理由のひとつが、ホームドアの普及です。 従来のラインカラーは、車体の窓下、いわゆる腰部へ配置されることが一般的でした。 しかしホームドアが設置されると、まさにその部分が隠れてしまいます。 何線の車両なのかを伝えるための色が、ホームから見えない。 安全設備の普及によって、車両側も「どこに色を置くのか」を考え直す必要が生じたのです。 その代表例が、2015年に登場した山手線E235系です。 先代のE231系500番台まで続いていた窓下のウグイス帯は姿を消し、E235系では乗降扉を中心として縦方向にラインカラーを配置。 ホームドア越しでも確認できる場所へ色そのものを移しました。 興味深いことに、同じE235系でも横須賀・総武快速線用の1000番台では、青とクリームの伝統的な横帯が採用されています。 ホームドアのない区間を多く走行することから、こちらでは従来型の横帯が残されたもの。 同じE235系でありながら、走る路線によってラインカラーの考え方まで異なるのです。 東京メトロでも、同様の変化を見ることができます。 丸ノ内線2000系では、かつての300形を思わせる白い「サインウェーブ」を復活させましたが、その位置は車体上部。 東京メトロ自身も、ホームドア区間でも見やすくするため上部へ配置したと説明しています。 さらに北綾瀬支線で使用された千代田線05系では、従来の腰部の帯に加え、わざわざ窓上にもラインカラーを追加。 ホームドアによって帯が見えなくなることを前提に、「もう一本、上に色を置く」という対応が採られました。 そして、この変化が現在も続いていることを示すのが、東京臨海高速鉄道りんかい線の新型71-000形です。 2025年10月に営業運転を開始した同形式では、エメラルドブルーのグラデーションを車体腰部だけでなく、窓まわりを含む上部まで大きく展開。 東京臨海高速鉄道は、その理由について「ホームドアの高さを考慮」したものと明記しています。 さらに号車表示や車いす、ベビーカーのピクトグラムについても、ホームドア越しに見やすい車体上部へ配置。 もはやホームドアは、完成した車両を後から隠してしまう設備ではありません。 新型車両を設計する段階から、「ホームドア越しにどう見えるのか」が外観デザインの条件に組み込まれているのです。 横へ引く。上へ移す。扉へ縦に配置する。あるいは車体上部まで大胆に色を広げる。...
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